社会のタネ

社会科を中心に、アートや旅の話などもあれこれと。

408 「比較」とは

昨日の読書会で「比較」について話題になりました。

社会科において最も多く使用される思考法の一つとして「比較」が挙げられるでしょう。

私自身、授業の中で意図的に比較を行います。

 以前にこのようなことも書いていました。

yohhoi.hatenablog.com

 

今回、「比較」を取り上げて書いていこうと思います。

 

【比較とは】

 「比較」とは、簡単に言うと「2つ以上のものの違いを知ること」です。

ものごとをある基準で見たときに、どのような違いがあるのかがわかることです。

例えば「部屋の中の机の上にあるりんごは大きい、床にあるりんご小さい」という事例は、「大きさ」という基準で比べています。

「床にあるりんごは、机の上になるりんごより小さい」とも言えます。

「小さい」と判断できるためには、比較するものがなければなりません。

 つまり、比較することで、ものごとの類似点と相違点が見つかります

一般的なものと個別的なものに分けることができます。

ものごとの本質を理解し、認識をより深めるために、「比較」は有効な思考法となります。

 

【学習における比較】

 社会科授業において比較学習は、社会事象のもつ特殊性と一般性とを認識させ、科学的に思考させていく学習過程に位置づけられています。

『社会科 単元比較学習の展開』藤本光1974(明治図書)では、以下のように記されています。

比較は対比とも、また時には対照、対応とも同義に用いられる。学習における比較は、「一定の事物および現象のあいだの類似や差異の特性をあきらかにするために広く使われている、教授学的手法および思考操作」(ソビエト教育学研究会編『ソビエト教育科学辞典』比較の頁)というように定義されている。比較は思考活動における重要な要素の一つであるから、その学習上の価値は、かなり以前から注目されているようである。

 

そして、比較の利点を3点挙げています。 

 1 他の思考操作にくらべて具体性の強いこと

 2 学習過程の工夫がしやすくなること

 3 視野が広がり思考に幅ができてくること

 学習における「比較」は、有効に働きそうです。

 

 

下のような一般的な学習過程の中では、それぞれの場面ごとに比較の思考は有効に働きます。

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これらを参考に、どのような場面で「比較」が有効活用されるのかを次回からみていきます。