生活科を直接子どもたちに指導した経験が少ない。
だからといって生活科について無知であることは罪である。
社会科を主に研究しているが、社会科の実践をより豊かにするためにも生活科について研究する必要がある。
生活科と社会科との「違い」や「つながり」を意識し、その連携を意識した生活科のあり方について述べていきたい。
「違い」は、生活科は活動優先で社会科は目標が優先ということである。
生活科は、経験を通した子どもたちの「気付き」を大切にしている。
また、その気付きの質を高め、自立への基礎を養うことを目指す。
気づいたことを表現し、共有し、あらにまた活動を通して気付きを増やしていく。
スパイラルに学んでいくことで気付きの質も豊かになっていく。
活動が大切である。
しかし、気づきの質を上げるためには活動だけをしておけばいいというわけではない。
教師の働きかけが重要になってくる。
「活動あって学びなし」にしてはいけない。
「深い学び」に導くために、子ども自身によるメタ認知が必要となる。
自己内対話を繰り返し、自己の思考の再構築や深化を図るのである。
しかし、低学年の子どもたちにとってそれは容易ではない。
だから、低学年では外言を大切にする。
低学年のうちに素直な気づきの表現をさせることが必要である。
子どもたちが表現したことを教師がうまく関連付けたり発展させたり価値づけたりする。
そうして一人の気づきを全員で共有する。
低学年のうちにこういう経験をたくさんしておくことが必要であると考える。
年齢があがるにつれて外言がへり、内言が増える。
その時にメタ認知がはじまる。
低学年はその大切な準備期間である。
これは生活科から社会科、いや、他教科への「つながり」と考えられる。
そういう意味で、生活科で大切にしている「気付き」と「表現」は、子どもの発達段階に合っている。
気付きの質を高め、自立し生活を豊かにしていくための資質・能力を他教科にも生かされるようにしていくべきである。