アメリカの知覚心理学者であるジェームズ・J・ギブソンが1950年代にafford(与える、提供する)を名詞化した造語に「アフォーダンス」という言葉があります。
『アフォーダンスー新しい認知の理論』の中では、「環境が動物に与え、提供している意味や価値」と定義づけられています。
物的環境が何らかのメッセージを発しており、受け取る人の行動に影響を与えるという考え方です。
そこにものがあることで導き出される学びがあります。
例えば、教室前の廊下を考えてみます。そこに社会科授業関係のものを置き、「小さな博物館」にしてみてはどうでしょうか。
・土器のレプリカ
・スマート農業の書籍
・オリンピックに関係する新聞記事
・伝統工芸士が作った作品
・自主学習ノート
などが考えられます。
佐野亮子(2021)は、学習環境整備について次のように述べています。
「環境整備には『学習活動を刺激する活動』と『学習を促進する環境』の2つの整備がある。掲示物や展示物も含め子どもの学習の拠りどころとなる学習材を、刺激と促進のどちらに重点をおいて整備するかは、教科単元の特性や子どもの学習適性によって時々で変わってくる。そこに整備する教師の個性も加わるので、同じ単元でも学校によって学習環境の様子は異なる」
学校の状況、目の前の子どもの様子、教師の考え方等によって大きくかわってくるものが学習環境整備だと考えられます。
このような学習環境整備は手間が大きくかかることが課題です。
しかし、子ども達は適切な環境があれば学びます。学習環境を整えるだけで学びが大きく促進する子は必ずいます。
教師のさりげない環境づくりが子どもの学びの発動源になれば嬉しいものです。
そして、「教師こそ最大の教育環境」であることを忘れてはいけません。