「個別化」の概念や「個別最適な学び」を考えるには、やはり及川平治まで遡るべきです。
『分団式動的教育法』
明治時代の画一化した学級教授を大きく批判した及川です。
及川は次のように述べています。
「教師が教えたから児童の知能が発展するのではなくて、児童が学んだから知能が進歩するのである。ゆえに真に教えるとは真に学ばせる事である。」
及川は、学級の授業に分団(可動分団式)をとり入れた分団式教育を実践します。
及川(1910)は、分団式教授を次のように説明しています。
「分団式教授(グループ、システム)は学級教授の利益を保存しその不利益を除去せんがために個別教授を加味せるものにして実に全級的個別的教授の別名に外ならず」
分団にすることで、学習に遅れる子どもの救済や予防に重点を置きました。
すべての子どもに「真に学ぶこと」を可能にする方法を考え、実践しました。
「個別最適な学び」の考え方をここに見ることができます。
なかなか手に入りにくいですが、必ず目を通しておきたい一冊です。
〈参考文献〉
及川平治(1912)『分団式動的教育法』弘学館書店
及川平治(1910)「分団教育の発達及び経験の帰一」『教育実験界(第二六巻、第一二号)』