社会のタネ

社会科を中心に、アートや旅の話などもあれこれと。

1077 割合を考える

1年間のすべての学習時間を子どもに委ねる学習にするということではありません。

奈須正裕(2022)は、次のように述べています。

「まずは思い切って総授業時数の1割から2割程度を質の高い、しっかりとした個別最適な学びにしてはどうかと思う。2割というと少なく聞こえるかもしれないけれど、平均すると毎日1時間は子どもたちが自力で学びを展開することになる。それが学校生活に劇的な変化をもたらすのは、ほぼ間違いない。子どもたちの姿が一変するのはもちろん、先生たちの子ども観や授業観も揺さぶられるだろう。」

どの教科、どの単元、どの時間でするのが適しているのかを見極めるところに教師の腕がかかっていると感じています。

社会科でも、委ねることが適している単元とそうでない単元があります。

例えば、5年生の産業学習は比較的子どもに委ねやすいと感じています。

農業単元で自然条件や経済面、環境面などの視点で産業を見ていくことや、生産者の工夫や悩み、農業の問題点等を把握します。

これらの視点は、他の産業でも共通していることが多いです。

また、持続可能な生産を意識した共存共栄の考え方は、どの産業にも共通している考え方です。

このように、農業単元で学んだ視点や考え方をもちながら、水産業や工業、林業などを追究するようにします。事例は変わっても、同じように学び進めることができます。

1年間のうちのはじめの方は、見方・考え方の働かせ方や概念的知識の獲得等、社会科として大切にしたいことを一斉授業で明示的に示していくことが多くなります。

そう考えると、1学期よりも3学期の方が、子どもに委ねる学習が多くなるのかもしれません。

また、45分授業の中の30分は一斉授業で、残りの15分は個別学習、最初と最後を合わせた15分を個別学習で行うなど、1時間の授業の割合を考えることも重要です。

ほんの少しずつでも、時間や場所、内容等、子どもに委ねることを増やしていく発想をもちたいものです。