社会のタネ

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1081 「個性を生かす」とは

そもそも「個性」とは何なのでしょうか。

「個性を生かす」とはどういうことなのでしょうか。

篠原助市(1935)は『増訂 教育辞典』(宝文館)の「個性と教育」の項で、教育の立場から見ての個性の捉え方について次のように述べています。

 

「教育上の見地よりして個性は大凡之を二種に大別するを得べし。その一は自然としての個性にして、他は理想としての個性なり。前者は、人の生まれながら有する自然の性情にしてヘルバルトが客観的品性と称せしものに当たり、後者は、目的を意識し、自覚的に働く個性にしてヘルバルトの主観的品性と称せるものに相当する。」

 

個性を「自然としての個性」と「理想としての個性」の二つに分けています。

また、次のようにも述べています。

 

「自然としての個性を単に「個性」と言ひ、理想としての個性を「人格」と称するときは教育は個性を人格たらしむる作用なりと言ひ得べし。」

 

教育は、「自然としての個性」を「理想としての個性」にする作用であるとしています。

つまり、「個性を生かす」という言葉は、子どもを好きなようにさせるということではなく、人格の形成にまで高めるところに本質的なねらいがあると考えられます。

また、

 

「人は社会においてのみ人となり、個性の健全なる発達は社会において始めて可能なればなり。」

 

とも述べています。

人は関わり合うことを通してよりよい人格を形成していくということです。

忘れてはいけない指摘です。