社会のタネ

社会科を中心に、アートや旅の話などもあれこれと。

1458 発問の歴史を概観する①

2023年12月31日現在、グーグルスカラーにて「発問」と検索すると、約 15,400 件ヒットします。これだけ多くの研究がされ、注目度の高いワードとなっています。
 そもそも、発問とはいつから使われ、いつから研究されるようになったのか、まずはその起源を辿っていくことにします。

(1)古代の問答法
発問の歴史は、相手に自身の矛盾や知識の欠如を認識させ、真実を探究するソクラテスの問答法やアリストテレスの教えにその起源を見出すことができます。これら古代ギリシャの哲学者の手法は、時間を経て進化し、現代では教育的な文脈での手法として、今日の学校や職場の教育プログラムでも、その価値を継続して示しています。

(2)日本の発問の源流
 日本における発問の源流は『礼記』にあります。『礼記』は漢代に編纂された四書五教の一つであり、漢学への入門書です。学習とは自学であり、問うのは学習者だというのが『礼記』の教授思想でした。この思想は、江戸時代の日本の教授思想にも生きていました。江戸時代では多くの学校(藩校や私塾)が登場しましたが、そこでは生徒が教師に不明の点を質問し、それに対して教師が教えるという形が基本でした。「弟子が問い師が答える」という形の問答形式で、教師が発問するのではなく、生徒が質問するという形です。