900 経験と言語と知識
経験との結びつきが希薄になる「言語主義」や「はい回る経験主義」なんて揶揄されないように、大切にしたいこの関係。
899 概観してから具体へ
898 UDL授業での教師の役割
UDL授業での教師の役割は、以下の4つが考えられます。
① カリキュラムをデザインすること ② 複数の選択肢(オプション)を用意すること ③ 判断や選択の方法を教えること ④ フィードバックを行うこと |
教師は、UDLの三原則に基づき、柔軟性をもってカリキュラム(ゴール、方法・手段、教材、評価)をデザインし、支援を続けます。
事前にバリアを見つけ、学び方や教材などのオプションを用意していくことも重要です。
また、子どもたちに判断や選択の方法を教え、学習者の提案にも柔軟に対応できるように心がけます。
子どもたちへの適切なフィードバックを行い、子どもたちが自分に合うものを自分自身で選べるようにしていきます。
もし自分に合うものがなければ、それを提案できる学習者に育てて行いことも重要です。
897 フィードバック
フィードバックとは、「形成的評価による学習の改善に役立つ評価」と捉えることができます。Hattie & Timperley(2007)によって、フィードバックが適切に機能する四つのレベルが明らかにされています。
課題を明確にすることに対して機能するタスクレベル、課題を遂行するプロセスに対して機能するプロセスレベル、自己調整に対して機能する自己調整レベル、動機づけとして機能する自己レベルです。
例えば、社会科は,形成的評価に基づくフィードバックを行い、動機づけに働きかけながら、概念的知識の獲得を目指すことになります。
形成的評価を通して、教師は目の前の子どもの実態や状態を把握します。そここから現状の課題を明らかにし、必要に応じて課題の遂行や自己調整を支援しながら問題解決を促し、概念的知識の獲得を目指します。それと同時に、自己レベルとして子どもの学習に対する動機づけに働きかけながら、子どもの主体的な学びと協働的な学びを促すようにします。
896 UDLを支える足場的支援
足場的支援とは、問題解決の際に有能な他者の支援を得ることで、支援がないときよりも難易度が高く複雑な問題にも取り組むことができるようになることを意味する概念です。背景には、ヴィゴツキーの発達の最近接領域(ZPD)があります。
足場的支援は、問題解決のための手だてだけでなく、以下の図が示すように、発達領域を引き上げる取り組みとも言えます。
通常の授業と、足場的支援によるUDLの授業を比較すると、次のようなイメージになります。
足場的支援によるUDLの授業では、子どもが自分で方法を選択しながら問題解決をしようとしています。それに対して教師はフィードバックを行っています。そうすることで、子どもは問題解決の場面に出合う度に、自分で必要な方法を判断し、学びを自己調整できるようになると考えます。
895 個別最適な学びとUDLは親和性が高い
UDLは多様な学習者に対して学び方や教材などの様々なオプションを準備します。
授業UDは多様な学習者みんなが学びやすくするための手だてを考えて授業デザインします。授業UDの取組の中にもUDLのオプション的な発想もあります。
「どちらがよいか?」という2項対立的な発想にするのではなく、子どもの発達段階や目の前の子どもの状態に合わせて、柔軟に考えていくことが大切です。
894 生活科における深い学びとポイント
893 生活科はなぜ「働かせる」のではなく「生かす」なのか?
892 「社会的事象の見方・考え方」を働かせる授業
① 学習問題(課題)と毎時間の問題(課題)における問いはどのようにつながり、どのように特色や意味に迫っているか、あるいはどのように社会への関わり方の選択・判断につながっているかなど、単元を通した問いの構成を工夫して、子供が社会的事象の見方・考え方を働かせるように授業設計すること。
② 社会的事象の特色や相互関係、意味を考え、社会生活についての理解につなげるために、どのような視点が単元のどの段階で必要になるかを考え、授業設計すること。
③ 資料の内容はもとより資料の加工や提示の仕方を工夫して、子供が社会的事象の見方・考え方を働かせるように授業設計すること。
④ 対話的な学びが生まれるよう学習活動を工夫して、子供が社会的事象の見方・考え方を自ら働かせるように授業設計すること。
「見方・考え方」を働かせる社会科授業づくりの条件は、単元等の目標の実現するために、教材化の視点とともに、問いや資料、学習活動などを含めた問題解決的な学習の展開(過程)を工夫することであると言えます。