社会のタネ

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477 「西陣織」実践はなぜ有名?

 

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 西陣織の実践は様々な所で引用されたり分析されたりしています(『社会科教育』誌や社会科論文等)。

なぜそのように記憶に残っている実践なのか、優れた実践とされているのかがずっと気になっていました。

2020年8月に、仲間内で「西陣織」の実践を読見込む機会がありました。

そこから中西仁氏の論文にもあたることができました。

その論文から引用しながら以下に記していきます。

 

この頃の実践は、地域や子どもの生活現実に根ざした切実な問題を取り上げた問題解決学習が盛んに行われていました。

しかし、「西陣織」の実践は本当にそうであるのかと中西氏は指摘します。

「「西陣織」は「地域や子どもの生活現実に根ざした切実な問題」よりも社会問題の構造的把握へ大きく傾斜した実践であり、当時としては極めてユニークな「社会問題解決学習」と捉えることができる」

と記されています。

そして、「西陣織」実践は極めて現代的な実践であるという評価も成り立つとされています。

「問題を子どもの頭と心に染み透ませることによって子どもをいきいき学ばせる」という永田の手法は、非常に有効であり、例えば、後の有田和正の「ネタ」によって「追究の鬼を育てる」手法と軌を一にするものとしている。

「切実である」ことが難しい地域性や環境の中で、「切実にする」ということの源流がこの実践にあると見えました。

今ある実践の元となるものがこの「西陣織」には多く含まれています。

そういうことを知ることができることにも大きな価値がありました。

  

詳細は『永田時雄・「西陣織」再考』中西仁(2013)を。