社会のタネ

社会科を中心に、アートや旅の話などもあれこれと。

1296 授業分析

重松鷹泰・上田薫・八田昭平編(1963)『授業分析の理論と実際』黎明書房
当時大きく取りあげられていた「授業分析」について、理論的に事例的にまとめられた591ページに及ぶ大著。
本書ができるまでに研究者、実践者が共に協力し、約10年の歳月を要している。それだけでもすごい事実。
 重松氏はその中で、「現場における実践、そこでの事実をありのままにとらえること、これが現場研究の鍵であるということに、異議をとなえる人はあるまい。それを明らかにした上での意見でなければ納得できない。またそれを批判しようとしても見当ちがいになるし、それを発展させようとしても木に竹をついだようなものになるおそれが多分にあるからである。」と述べている。
上田氏は、「授業研究は授業を改善するための手がかりを獲得することを目的とする。しかし、そのことは同時に、授業の展開を究明するだけではなく、子どもの真のすがた、教育目標および教材の適否を検討することによって、教育の科学化を推進しようとするものでもある。授業はほんらい教育に関するすべての問題をその中に凝縮させているはずである。その意味で、授業研究を教育技術の検討だと解する人があれば、それは明白な誤りである。」と述べている。
なぜ授業を研究するのか?
なぜ授業を分析するのか?
その原点にかえりたいものです。
 
すべては授業の中で新たな子どもの思考や活動を発見するため。
子どもを新たな視点で捉え直す行為こそが、授業分析の本質。