社会のタネ

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276 単元計画〈「問い」の構想〉(「豊かさ」シリーズ7)

2単元計画(「問い」の構想)

 単元とは、子どもの学習過程における学習活動の一連の「まとまり」という意味です。

この「まとまり」の中でいかに概念的知識を獲得させるかが大切になります。

単元計画の作成とは、教師が意図やねらいをもって、この「まとまり」を適切に構想していく作業のことです。

ポイントは、「問い」を中心に構想していくことです。

考えられる「問い」に対応してどのような「知識」を獲得できるのかを明記していきます。

これができれば、子どもたちがどのような思考を通してどのような知識を構築させていくのかが目に見えるようになります。

子どもの学びの地図を作成するような感覚です。

 

 

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 3年生「安全なくらしを守る」の単元を例に挙げて説明します。

この単元で獲得させたい概念的知識は、

「消防署や警察署などの関係機関は、地域の安全を守るために相互に連携して緊急時に対処する体制をとっていることや、関係機関が地域の人々と協力して火災や事故等の防止に努めていること」

です。

 消防署の学習で、単元を見通し方向づける「単元の問い」は「消防署の人たちは、どのようにして火事から人々を守っているのだろう?」になります。

その中でも

「消防署の人たちは、どのようにして火事から人々を守っているのだろう?」(未然の防止)

「消防署の人たちは、火災を防ぐためにどのような取り組みをしているのだろう?」(緊急の対処)

という問いを立てます。

「単元の問い」を軸にして考え、次に各時の問いである「本時の問い」を考えます。

例えば「消防車は、なぜ5分以内に火事現場に到着することができるのだろう?」

や「火を早く消すために、どのような訓練をしているのだろう?」

などです。

それらの「問い」に対する「答え」を明記します。

上図のように「問い」と「答え」をデザインすることで、授業者自身がその単元を俯瞰し、授業の流れをつくることができます。

「単元の問い」や「本時の問い」の立て方は後述いたします。

 

あくまでもこれは単元の授業のデザインです。

実際の授業は目の前の子どもに合わせて修正・変更していくことが必要です。

ただやはり、ここまでデザインできてはじめて、子どもの思考に合わせた柔軟な対応ができるようになるのです。