「なぜAは〜なのか」は単文型の問いです。
「Bは〜なのになぜAは〜なのか」は複文型の問いです。
例えば、
「なぜ日本では寒い地域で多く米が生産されるのか」は単文型。
「世界では暖かい地域で米が生産されるのになぜ日本では寒い地域で多く生産されるのか」は複文型になります。
ここでは疑問詞を問題にしているのではなく、文型を意識しています。
複文型にすると、対比することで自然と問いが生まれ、何を問題にしようとするのか焦点が明確になります。
上の例では「気温」についてです。
もうひとつ見てみましょう。
その他、例えば、「なぜ6種類に分別しているのか?」という単文型の問いでは、
→分別することに対するなぜ?
→数が6であることに対するなぜ?
→6種類の個々の内訳に対するなぜ?
なのかがよくわかりません。
しかし、
「A市では紙類という分類がなく5種類なのに、なぜ(自分たちの市は)6種類に分別しているのか?」という複文型の問いでは、
→紙類という分類項目の有無に対するなぜ?
という風に、何を問題にしたいのかが非常に明確になります。
ですから子どもたちも考えやすくなります。
また、単元の中の問いを複文型にすることも効果的です。
米作りがさかんな地域の自然条件について学習し、米作りの工夫(過程)について学習し、生産性を高める工夫(機械化、品種改良、情報活用等)について学習してきました。
「それにも関わらず、なぜ課題が多いと言われるのか?」という問いを設けることができます。
多くの工夫や努力をしてきた上での課題、工夫以外の部分での課題が考えられます。
「発問」についての話でしたが、「発問」だけ考えてはいけないということです。
文脈が大切だということです。
教育技術は名人芸的に要素を含んでいます。
しかし、
「発問を定石化すれば誰でも楽にできる」
「この発問を言えば必ず子どもはこうなる」
というのはあまり好きではありません。
大切なのは、
「疑問詞を分析してこの発問でどういう知識をつけさせたいのか?」
「「問い」を含む構文を分析して子どもたちに社会をどう読ませたいのか?」
「発問を通して社会に問われている問題の文脈をどのように読み取らせたいのか?」
そういったことを科学的に分析することです。
そして、意図的に取捨選択すること。
それは学級の状態や目の前の子ども、授業内容によって大きく変わることは言うまでもありません。