社会科における教材は、生きた現実の社会である。教科書というものもあるが、これは教材の一部にすぎない。
社会科は、教材を教えるというより、教材で、社会におけるひとりひとりの個性的な生き方を創造させていくのである。
子どもたちは、どういう教材にめぐり会えば、その生き方をより飛躍的に充実させていくことができるか、が問われなければならないことである。社会の動きの核心に奥深くかかわり、追究をすすめることによって、人間としての生き方に不明矛盾を自覚させ、それを乗り越えさせていく。
何が教材となりうるか。それは生きている眼前のひとりひとりの子どもによって決まるものであるが、その教材に期待できる内容がなければならない。子どもが、それにかかわって目を開いていくだけの内容がなければならないのである。(長岡文雄)
〈文献〉