社会のタネ

社会科を中心に、アートや旅の話などもあれこれと。

1070 教科書を活用した「学習の複線化」

 どの教科書にも、目次の中に「せんたく」という文字があります。これは、学習指導要領上、いずれかを選択して学習すればいいということです。

例えば、ある教科書では以下のものが「せんたく」となっています。

  • 3年生 工場ではたらく人びとの仕事

     畑ではたらく人びとの仕事

  • 4年生 ごみのしょりと活用

     下水のしょりと再利用

  • 4年生 くらしをささえる水

     わたしたちのくらしと電気  

     わたしたちのくらしとガス

  • 4年生 水害による災害

     地震による災害

     津波による災害   

     火山による災害  

     雪による災害

  • 4年生 原野に水を引く  

     産業をゆたかにする

     自然を守る運動

     村の立て直しにつくす

     医りょうにつくす 

  • 4年生 土地の特色を生かした地域

     伝統的な文化を守る

  • 5年生 あたたかい沖縄県に住む人々のくらし

     寒い土地のくらし−北海道旭川市

     高い土地のくらし−群馬県嬬恋村

     畜産業のさかんな宮崎県

     くだもの作りのさかんな和歌山県

     野菜作りのさかんな高知県

  • 5年生 自動車工業のさかんな地域

     わたしたちのくらしを支える食料品工業

     わたしたちのくらしを支える製鉄業

     わたしたちのくらしを支える石油工業

  • 5年生 情報をつくり、伝える

     放送局のはたらき

  • 5年生 情報を生かして発展する販売業

     情報を生かして発展する観光業

     医療に生かされる情報ネットワーク

  • 5年生 環境とわたしたちのくらし

     大和川とわたしたちのくらし

  • 6年生 わたしたちの願いと政治のはたらき

     自然災害からの復旧や復興の取り組み

     経験をむだにしないまちづくり

 

事例はそれぞれ違いますが、最終的に獲得する中核概念(単元のねらい)は変わりません。

 例えば、②であれば、「廃棄物の処理と再利用」という学習内容の事例として「ごみ」か「下水」を扱うということです。

③であれば、「安定した供給」という学習内容の事例として「水」「電気」「ガス」のいずれかを扱うということです。

これらの「せんたく」の事例を子ども達に選ばせてそれぞれがそれぞれの学習を進めるという方法です。教科書を活用した「学習の事例地」の複線化です。

ただ、④や⑤等は、子どもたちの居住地域にふさわしい事例を選択し、地域教材として学習することが望ましいです。

子どもの多様な学びに対応し、子どもによる「選択」を取り入れた学習ができるよう、「学習の複線化」を意識しておきたいものです。