社会のタネ

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1071 小手先の対応でおわらないために

「個別化教育」ブームのようになっていた1970年〜80年代。

加藤幸次(1984)は「小手先の対応に終ることを恐れる」と題し、「いともたやすく、個別化教育に乗り換えること」に対する危惧を記していました。

いきなり「個」や「一人ひとり」に関心を示す人が増え、それに関する論文が増えてきたことに対する疑問も感じていたようです。

また、

「日頃、行っている一斉画一授業への鋭い反省なしに、個別指導を唱えることは危険ではないか」と指摘し、「『どんなやり方があるのか』という方法の問題の背後にあるより本質的な原理に注目してほしい」

と述べています。

これは、今にもあてはまる指摘だと感じています。

「アクティブラーニング」や「個別最適な学び」等、言葉に踊らされないようにしたいと感じます。

なぜ今そのような概念があらわれてきたのか、どこが大切なのか、しっかり吟味しないと、それこそ「小手先の対応」だけでおわってしまいそうです。

背後にあるものは何なのか、その何が大切なのか、方法論だけでなく、本質論で語る必要性を感じています。

学習形態は様々ありますが、常に自分の中で何が本質なのかを問い続けながら実践を進めていきたいと考えています。

 

〈参考文献〉

加藤幸次「小手先の対応に終ることを恐れる」(1984)『社会科教育別冊No2』「若い教師のための個性・特性を生かす社会科個別指導のアイデア明治図書