社会のタネ

社会科を中心に、アートや旅の話などもあれこれと。

1215 作文を育てる土

昨日、綴方について質問を受け、改めて考える時間をとることができました。
関係の書をパラパラとめくっていく時間がとれました。

 

 その中からひとつ。
 東井義雄(1957)は、作文教育を農業に例えて、まずは土を作ることが大切だと述べます。
土を丁寧に耕せば、作物自ら育つということです。
「作文を育てる土」、すなわち「作文以前のもの」を用意し、それを育てる上で最も影響が大きいものが「教師の心構え」だと述べます。
 教師の心構えとして東井は、まず何よりも子どもを愛することからはじめ、それに終始することが重要だと述べます。
しかし、「子どもを愛する」ということはどういうことでしょうか。
東井は、
子どもの生活を大じにしてやること、子どもの生活を、もっと美しいもの、もっとほんとうのもの、もっと力強いものに太らせてやることだ
と述べます。
さらに、
子どもは、いろいろなことを思い、考え、しゃべり、行動する。その『思い』『考え』『おしゃべり』『行動』の一かけらをも粗末にせず、その中にやどっている、子どものいのちを愛おしみ、みがき、育てていく、それが子どもを愛することだ
と述べます。
 子どもの生活をみつめ、子どもの表現のすべてを受け止めて愛しむことができる教師の心構えがあってはじめて、子どもを理解するために効果的に機能するものが子どもたちの作文であると考えられます。

子どもの日記や作文に顕れる子どもの瑞々しい表現を今年も愛おしみたいものです。


〈参考文献〉
東井義雄(1957)『村を育てる学力』明治図書