【「つまずき」を回復させるための評価】
概念的知識の獲得は、思考を働かせるその過程が大切です。
結果だけでなく、その過程を重視することで子どもたちの認識も深まります。
しかし、その過程において子どもたちがつまずく場面が多いということは、今まで述べてきた通りです。
そのつまずき回復をその過程に仕組む必要があります。
そこで考えたいのが「評価」です。
「評価」にも様々な評価があります。
「診断的評価」とは、学習をはじめる前に認識様式や経験、興味関心などを把握するために行うことです。
いわゆるレディネスを把握するということです。
これを把握することで、教師は授業計画を見直したり工夫したりすることができます。例えば、子どもたちにアンケートをとって、社会科に距離を感じている子が多いという状況であるとすれば、できるだけ具体的な事例を入れるように学習内容を工夫することができます。
また、人の発言をつなげて考える経験が少ない子が多いという状況であるとすれば、できるだけ話し合い活動を入れようという学習方法を工夫することができます。
また、小テストなどを行って、都道府県の習熟が十分でないと判断できれば、日々の授業で都道府県を意識するような内容にできます。
子ども自身には克服しがたいつまずきを未然に防止することにもつながります。
「形成的評価」は、授業過程において、知識、技能等が子どもの認識プロセスを踏まえて、習得されつつあるのかを確認するための評価です。
即時的な評価になりますが、この評価の重要性を考え直す必要があります。
子どもたちに「つまづき」があれば、その都度回復の手立てをうつことができるからです。
東井義雄氏(1958)は、「「つまずき」を分析すると、指導する際の宝ものが宿っているというものです。」と言います。
「つまずき」を否定するのではなく、肯定する考え方を「形成的評価」論の根っこに据えなくてはならないと感じています。
「総括的評価」は、単元などが終わった時点で目標に達成したかどうかを確認するための評価です。
ペーパーテスト等で行われることが多いです。
一般的に「評価」というと、この「総括的評価」が頭に浮かぶのではないでしょうか。
ただ、テストの点数が悪いのは子どもの責任ではありません。
すべては教師の指導。
そこまで引き取って考える覚悟が必要です。
そこから回復の手立てが必要でれば打つべきです。
そして、授業計画や授業方法の改善へとつなげることが必要です。
それぞれの評価の仕方とその意味を理解し、適切に評価していくことが必要でしょう。
本時、単元だけでなく、学期、学年を見通した長いスパンでの評価計画を行いたいものです。