社会のタネ

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300 3段構えの指導(「つまずき」シリーズ15)

 授業UDの考えの中に、「3段構えの指導」というものがあります。

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「3段構えの指導」とは、授業内における「全体指導の工夫」を通して学級の全ての子どもが楽しく「わかる」「できる」ようにすると共に、集中の持続や学習内容の理解に困難な子どもに対して「個別の配慮」を行い、授業内の一斉指導で理解が厳しい状況にある子どもがいれば、授業外でも「個に特化した指導」を行う指導や支援の形のこと

 

です。

 

まずは一斉授業の中で「全体指導の工夫」を行います。

全体に対する指導を工夫することで、できるだけ多くの子どもが授業に楽しく参加・理解できるようにします。

 

しかし、指導の工夫を行っても、「つまずき」が解消されない子どもには、授業内で「個別の配慮」を行う必要があります。

 

さらに、授業内の「全体指導の工夫」や「個別の配慮」でも「つまずき」が解消されない子どもには、授業時間外での「個に特化した指導」が必要となります。

 

このように、段階的に指導や支援を行うことで、すべての子どもの「つまずき」を解消し、「わかる」「できる」ようになるのです。

 

普段の授業でインクルーシブ教育を行っていくために、必要な考え方です。

 

以下の表は、5年生「きゅうりづくりがさかんな宮崎県」の指導案の一部です。

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 「支援と指導上の留意点」の欄は、「3段構えの指導」を意識して明記しています。

 

〇は授業内の「全体指導の工夫」、は授業の内の「個別の配慮」、は授業外の「個に特化した指導」です。

 

「全体指導の工夫」は無数にあります。

 

それは、目の前の子どもに合わせて授業者が考えなければなりません。

 

「個別の配慮」と「個に特化した指導」には、個人名を入れています。

 

個人名を入れることで、より個に特化した配慮が具体的に見えるようになるからです。

 

 このように、「3段構えの指導」を意識し、一人ひとりの「つまずき」を考えた授業を構成することで、学級全員を包括した全員が楽しく「わかる」「できる」授業となるのです。

 

 築地久子氏(2017)がご講演の中で

「一人の子のために授業できない人が30人に授業できるはずがない」

とおっしゃいました。

 

やり方、方法は違えども、何を大切にするべきなのかは変わりません。

 

大切なのは、考え方や理念です。

 

 「本当に目の前の子どもの「つまずき」に合わせた工夫ができているのか」

 

常に問い続けていきたいものです。