社会のタネ

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291 「つまずき」から深める(「つまずき」シリーズ14)

「つまずき」から深める

 

教師が「つまずき」を取り除く、「つまずき」を回復させるだけでは十分ではありません。

子どもたちが自分自身で「つまずき」を捉え直し、克服していく必要があります。

しかし、「つまずき」の捉え直しは決して容易なものではありません。

自分がそうだと信じている場面が批判的に捉えられ、自分の思考や認識の差異を認めなければいけないからです。

立ち止まり、ふり返り、自分の甘さを受け入れた上で前へ進まなければいけません。

そのあたりの逞しさが必要です。本当の子どもたちの力はそこで伸びると考えています。

 

山田勉氏(1972)は、

「自己の認識連関と対決させ、そこに内部矛盾が引き起こされて、新たなる認識過程に移行して自己の認識連関を否定して新たなる認識連関を構成していくのである」

「学ぶということは、認識の自己否定だと考えている。知識でいえば、それまでもっている知識が、新しい知識を学ぶことによって否定されるということである。」 

と述べています。

 

つまり、何らかの「つまずき」を感じたときに、子どもがどのようにそれを乗り越えていくかという所に、本当の成長が隠れているのです。

 

そこには自分自身の考えが揺さぶられる経験が必要です。

自分の考えと人の考えを比較検討できる場、すなわち学級内における「話し合い」の場面が鍵を握っていると考えています。