社会のタネ

社会科を中心に、アートや旅の話などもあれこれと。

1085 Uターンのある授業

 「生活的基礎観念」とは、個人の生活、文化や風土などが相互的に作用されてできあがる個性的な生き方のことを指します。同じ学級の中で学習していれば、この「生活的基礎観念」はそれぞれの子どもで関わり合う部分が出てきます。それが同じ事象を見るための基盤となります。それと共に、同じ事象でも、人によって見方も変わってきます。これも子どもたちのもつ「生活的基礎観念」がそれぞれ違うからです。子どもたちのもつ「生活的基礎観念」の共通性と差異性があってはじめて集団で追究する集団思考の形が意味をなします。集団での追究過程を通して、それぞれの見方や考え方をぶつけ合い、それらを通して子どもが「生活的基礎観念」の再統一を図っていきます。つまり、自分のもっている見方や考え方、認識の捉え直しが起こります。これが、山田のいう「Uターンのある授業」という」もので、次の図に表されている通りです。
 図の中央にあたるのが「抵抗としての教材」です。この「抵抗としての教材」とは、子どもに自己否定的に反省を迫る機能としての位置づけのことをいいます。子どもの学習目標と教師の指導目標を対立葛藤させ、それぞれに再検討を促し、さらに追究を深化させていくために必要なものだと捉えられます。
 これらの山田理論は、バランスの欠けた「個別最適な学び」について捉え直す一つの考えになるのではないかと感じています。