「集団」への意識
「私の99%以上は「失敗」から成り立っています」
子どもたちによく話す言葉です。
教師になって十数年、本当に失敗だらけ。
そう思います。
自分で気づいている失敗ならまだしも、自分では気づけていない失敗もありすぎて…。考え始めるとキリがないですね。
反省ばかりです。
私はどちらかというと「集団」を強く意識し、「集団」に重きをおいて学級づくりをしてきました。
「仲間」「団結」「絆」という言葉が常に先頭に並ぶという感じです。
子どもたちをガッツリつなげることに全精力を注ぎ込む。
そんなイメージでしょうか。
もちろん今でもそういった言葉を使いますし、大切にしたい徳目でもあります。「TEAMづくり」は現在の自分自身のテーマのひとつでもあります。
ただ、当時は教師である私が子どもを引っ張りすぎていたのではないかという反省が残るのです。
「全員参加」を強く促し、見えない強制力を働かせすぎていたのではないかということです。
「ミンナナカヨク」
学級の力を高めるためには学級目標が必要です。
目標がなければ「集団」は育ちません。
「学級目標=学級のゴールイメージ」でもあるからです。
しかし、そこへ向かう教師の働きかけが強すぎました。
その結果、子どもたちの間に異様な濃密感をつくり出していたのではないかということです。
集団の関係が濃密になりすぎると「違い」が許されなくなることがあります。
抑圧感を感じ、息苦しくなる子が出てきます。
本当は同じようにやりたくない。
でもやらざるを得ない状況がある。
正直、私の経験上、そう感じていただろうという子の顔が浮かび上がります。
「きっとあの子はしんどい思いをしていたのだろうな…」
「我慢して付き合ってくれていたのだろうな…」
と。
緩やかにしかつながれない子も存在するわけです。
目標に向かって進んでいくうちに自然と団結していた。
そのような形が望ましいのかもしれません。
緩やかに徐々に広がるイメージをもつこと。
学級経営を豊かにするために必要なイメージだと感じています。
学級という集団の中では、子どもたち同士が全く関わらずに生活するということはまずありません。
当然気の合う子もいれば、合わない子、仲良くなれない子もいます。
我々大人も同じです。
だからといって気の合わない子を攻撃したり無視したりすればいいということではありません。
「みんな仲良く」ができない子もいます。
だからこそ「仲良くなれない人との付き合い方」を教えることも大切なのではないのでしょうか。
それは、これからの社会を生きていく子どもたちにとって、より現実的なことなのではないでしょうか。
うまくいっている?
経験年数が少ない頃の私は、感覚的に「うまくいっている」と感じることの方が多かったように思います。
年数を重ねるにつれ、「うまくいっている」と感じることは少なくなりました。
以前は「集団」の動きや状態ばかりに目がいき、「個」が見えていなかったからです。
だからこそうまくいっていると錯覚をしていたのです。
「個」が育てば「集団」が育つ。
逆も然り。
「集団」が育つことで「個」が育ちます。
実際、「集団」が育つことで「個」が生き生きする場面もよく見てきました。
ですから、決して「個」だけを見るべきだと主張しているのではありません。
「集団」に傾倒し、強制力を働かせすぎていたがために見えていなかった「個」が多すぎた。そのことへの反省なのです。
長いスパンでのリフレクション
なぜこのような話をしたのかというと、自分自身の学級経営のあり方を大きくリフレクションする必要があるからです。
授業改善のための授業リフレクションはよくしてきました。
研究授業をしたことがない教師などいないでしょう。
研究授業をすれば他者からの批判や評価を受け、ふり返ることができます。
しかし、学級経営においてはどうでしょうか。
他者からの批判や評価を受ける機会は少ないのではないでしょうか。
失敗を自分で反省することはあっても、改善のために自らの実践の内容や方法、目的や成果などを様々な観点からふり返ることは少なかったと感じています。
だからこそ自分自身で意図的にリフレクションする必要があると思うのです。
そうしなければ勘と経験だけで乗り越えようとしてしまいます。
その勘と経験だけである程度乗り越えることができてしまうのもこの職種の怖い所です。
「うまくいっている」という錯覚から抜け出すことができません。
人は、特に何かがあった時にふり返ります。
しかし、そうでない時にこそふり返るべきです。
1年前の自分はどうだったのか。
5年前の自分はどうだったのか…。
日常的なリフレクションだけではなく、長いスパンでのリフレクションも必要だと感じています。
記録→WHY思考へ
私の場合はまずとにかく記録をとるようにしています。
具体的な行動、感じたことやその時に考えていたこと等を素直に書き記していきます。
これだけではただのメモなので、ある一定の期間で整理し、共通項を取り出したり項目で分けたりします。
「うまくいったこと」「いかなかったこと」に分け、「なぜうまくいったのか?」「なぜうまくいかなかったのか?」という思考をくぐらせます。
常に「WHY思考」を心がけます。
また、年をまたいでの思考の変化も見ます。
例えば2014年度の4月は「子どもとの関係性を高めるための方策」について考えている。
2015年度の4月は「子供同士のかかわり合いの質を高める」ことについて考えている。「この1年間での変化は何なのだろうか?」
「なぜ変化したのか?」
を考えることで、次への方向性や原理原則が見えてくることがあります。
それが自分なりの学級経営の「あり方」となるのです。
リフレクションの方法は人それぞれです。
自分自身に合うリフレクションの方法を模索するべきだということは言うまでもありません。
常に自分自身を問い直し、反省的実践家であり続けたいものです。