「個別学習」において大切なことは、決して放任の学習ではないことを心得ることです。
現状の個別学習だけでは不十分だと判断すれば、教師がある子の考えを共有したり、全員に新たな課題を提示したりすることが必要です。
もちろん、子どもの思いや願いを無視して教師が出過ぎないように気をつけます。
また、子どもの個性に応じてむやみに活動をさせればいいというわけでもありません。奈良女子大附小学習研究会(1974)『学習法の体得』の中には、
「好きにするという手段にとらわれて、その学習内容の本質を曲げることのないようにしたいものである。」
「学習内容を直接追求することに興味を感ずるように導くのでなければ意味のないことである。」
と記されています。
その教科、その学習の本質をしっかりとおさえておくということが前提です。
では、教師は子どもが個別学習をしている時に何をするればよいのか迷うときがあります。
そのヒントとなる記述が、同書P204に「独自学習(ひとり学習)での教師の役割」として記されています。
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子どもの発想を尊重して、子どもの手のつくところから学習を進めさせる。
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子どもに学習の計画を立てさせたり、その相談に乗ったり、資料や素材を用意したりけいこの時や処などについて助言する。
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学習がいきづまったとき、その実態を調べ、その原因を洞察して助言する。
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かいてる絵を破って捨てようとするような子どもに対しては、新しいものが生まれ出ようとしているかどうかを見て、子どもと違った見方ではげます。
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学習が順調のようなときでも惰性で動いているのではないか、その子らしさがあらわれているかをみて適切に助言する。
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学級内の多数の友だちの学習を意識し、その間に協力関係が育つようにする。
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多様な表現活動を行わせる中でも、ノートなどにくわしく自分の考えを書いたりして解決への試案をもつことができるようにする。
「教師の役割とは何なのか」、今改めて考えたいものです。