社会のタネ

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1098 ブルーナーの構造学習

 山口ら(1963)の『社会科指導内容の構造化』における「指導内容の構造化」を契機として構造論が活発になり、続いて「学習の構造化」「目標の構造化」などが言われるようになった。平田嘉三・香中社研共編著(1966)『社会科における学習構造』や香川県社会科教育研究会編(1968)『社会科学習構造化指導細案』などがそうである。ただ、ここでいう構造化は、学習指導要領の内容を目標に照らし合わせて精選したものを図式化し、軽重をつけて指導することを主な目的としていた。つまり、構造の概念規定はあいまいで、構造化の原理も不明確だった。

 また、構造化学習は、前述したように学習内容の精選や目標・内容・方法の統一的把握によって学習効果を高めることに重点が置かれ、教師主導型の傾向が強い。これに対して、ブルーナーの構造学習は、物事・事象間のかかわり、部分と全体の関係等を子ども自らが発見し、その認識や理解にせまろうとする。これは、物事の本質に迫る学習方法であり、子ども自身がここで獲得した概念を他でも利用しようとする態度につながる学習である。正に「生きて働く知識」を子ども自らが獲得することになる。この点は、子どもたちが社会的な見方・考え方を働かせて、資質・能力を獲得する学習に大いにつながる。

ブルーナー理論による全体構成を踏まえて各事象の構造的本質部分に迫る学習方法は、現在言われている資質・能力ベースの学習にも大きな示唆を与えている。