社会のタネ

社会科を中心に、アートや旅の話などもあれこれと。

1040 戦後社会科と問題解決学習

 

今後の教育、特に社会科は、民主主義社会の建設にふさわしい社会人を育て上げようとするつもりであるから、教師はわが国の伝統や国民生活の特質をよくわきまえていると同時に、民主主義社会とはいかなるものであるかということを、すなわち民主主義社会の基底に存する原理について十分な理解をもたなくてはならない

これは、昭和22年5月に刊行された学習指導要領社会科編 Ⅰ(試案)に記されている社会科の目的の一つです。

戦後、終身、歴史、地理などの教科を廃止してそれらの内容を統合し、民主主義社会の建設という課題性をもって誕生したものが社会科という教科でした。

昭和26年7月に刊行された学習指導要領社会科編 Ⅰ(試案)には次のように記されています。

社会生活を児童の現実的な生活から切り離し、いわばかれらから離れて向こうにあるものとして、その必要や関心の有無にかかわらず、断片的に学習させ、社会に関する知識を持たせるというようないき方をとらずに、かれらが実生活の中で直面する問題を取り上げて、それを自主的に究明をしていくことを学習の方法とすることが望ましいと考えられる。

 ここに、問題解決学習を基本的性格とすることが明確に記されています。

 つまり、戦後社会科は、民主社会に生きる人間の資質・能力を育てる市民教育というねらいをもち、カリキュラム構造としては、統合社会科という性格を有していました。また、学習方法論としては、問題解決学習を前面に打ち出して出発しました。