社会のタネ

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1344 子ども同士の「つなぐ力」を育てる話し合いの工夫

話し合いの力を育てるうえで大切にしていることの一つは、自分の意見を言ったあとに、どのように他者の意見を引き出すかという工夫です。

たとえば、子どもたちは自分の考えを述べたあとに、

「私は〜と思いますが、同じ意見の人はいませんか?」

「私は〜と考えましたが、違う意見の人はいませんか?」

というように、自分で「同じ意見」を聞きたいのか、「違う意見」を聞きたいのかを選んで、次につなげられるようにします。

さらに、発言を受けた周りの子どもたちも、

「いっしょ、いっしょ!」

「ちょっと違う!」

といった反応を自然に返すようになります。

実はこの「ちょっと」に、その子なりの考えの違いや意味が込められており、そこから話し合いが深まることも少なくありません。  

また、やり取りのバリエーションも次第に広がっていきます。

「同じ意見の人は手を挙げてください。…たくさんいて嬉しいです。ちなみに違う意見の人はいませんか?」

「ぼくの今の考えにつなげて発言してくれる人はいませんか?」

といったように、問いかけの工夫も増えてきます。

慣れてくると、自分が話している時の友だちの反応をよく見て、こんなふうに発言をつなげる子も出てきます。

「今、僕が話しているときに『あぁ〜それ見たことある!』って言ってくれていた◯◯さん、どうですか?」

「◯◯さんがちょっと首をかしげてたんだけど、もし違う考えがあれば教えてくれませんか?」

このように、手を挙げた子だけに注目するのではなく、仕草や表情に気づきながら話を広げていく姿が見られるようになります。

これは、教師自身が普段から子どもたちの反応に目を向け、その変化に丁寧に寄り添っていることが、子どもたちにとっての手本となり、こうした関わり合いを育てていくことにつながります。

こうした積み重ねにより、話し合いの中でよくある「どうですか?」「いいで〜す」といった紋切り型のやり取りが自然となくなっていきます。

もちろん、はじめからすべての子どもがこうしたやり取りをできるわけではありません。

最初のうちは、教師の促しが必要です。

「今、◯◯さんが話している時、たくさんの子がうなずいていたよ。『同じ意見の人はいませんか?』って聞いてみたら?」

「◯◯さんは違う意見も聞いてみたい? だったら、『私と違う意見の人がいたら教えてください』って言ってみようか」

といったように、声かけを通して少しずつ話し合いのスタイルを広げていきます。

こうして、一人ひとりの子どもが「誰と、どう話し合いたいか」を意識しながら参加できる場をつくっていくことが、話し合いを通じた学びの広がりにつながっていきます。