社会のタネ

社会科を中心に、アートや旅の話などもあれこれと。

267 見えるもの→見えないもの(「つまずき」シリーズ5)

  • 思考活動の「つまずき」に関して述べていきます。

(1) 見えるもの→見えないもの

社会科は、一言で言えば「見えないもの」を見えるようにする教科だと言えます。

社会的事象の見えない意味や特色を見出すことが社会科の本質とも言えます。

 

〈「どのように?」→「なぜ?」の流れをつくる〉

まずは「どのように?」で事実を追究し、「なぜ?」で意味や特色を見出します。

つまり、「なぜ?」疑問に答えることで、概念的知識を獲得するということです。

1時間の授業を組み立てるときにこのことを意識するだけで授業も大きく変化します。

 

 

3年生「地域の安全を守る」学習を例にすると、

「なぜ5分以内で到着できるのか?」

「なぜ警察やガス会社に連絡するのか?」

「なぜ場所によって消防車が違うのか?」

「消防士がいるのに、なぜ消防団が必要なのか?」

などです。

これらの問いに答えることによって、「消防」という活動の意味や特色を理解することができます。

そうやって獲得した知識が、概念的知識なのです。

基本的に「どのように?」→「なぜ?」の流れをつくることで、子どもたちは道に迷うことなく追究することができるのです。

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 授業の流れがシンプルなゆえに、子どもたちはまとめやふり返りもしやすくなります。

1時間の授業のゴールが、問いに対する「答え」だと考えてください。

最後のまとめの場面になります。

「〇〇は、どのようにして(なぜ)…だろう?」

が本時の「問い」であれば、まとめは「〇〇は、〜だ」という表現になります。

子どもがまとめで書くべき言葉を教師があらかじめ想定しておきます。

それが本時の「ねらい」となります。

「ねらい」が明確で具体的であればあるほど、授業はブレなくなります。

 

「なぜ?」という問いは、は「目に見える事実」から、「目には見えない意味や特色」を導くための「問い」なのです。

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「なぜ?」を授業の中で問うことで子どもたちは思考し、「考える社会科授業」にすることができます。