〈「なぜ〜?」は難しい〉
しかし、この「目に見える事実」から「目には見えない意味や特色」を見出すときに子どもたちの多くが「つまずき」を感じるのです。
そこには原因と結果をつなげて考える「因果思考」が働くからです。
「なぜ〜?」の問いは、何に対して答えてよいのか、どう答えてよいのかが曖昧になりやすいことが考えられます。
また、本質を問うことになるので、一部の勘のいい子どもが活躍する授業になってしまうのです。
子どもたちの多くの「つまずき」はこの「なぜ?」を考える所にあると私は捉えています。
例えば、以下の資料と問いで考えて見ましょう。
グラフを読み取ることで、群馬県産のキャベツの出荷が7月から10月に多いということがわかります。
その後、「7月から10月の間になぜ多くのキャベツが群馬県から出荷されているのだろう?」と問います。
しかし、子どもたちは、7月から10月の間である「期間」なのか、少ないのではなく多い「量」なのか、他の県でなく群馬県である「場所」なのか、どの理由から答えればいいのかが分からなく、難しく感じるのです。
そこには「因果思考」だけでなく、「関連思考」や「比較思考」、「条件思考」も働くことが多くなります。
「なぜ〜?」という問いは一つであっても、それを答えるための理由は数多くあるのです。
以下の問いも同じことが言えます。
「なぜ事故は減っているのだろう?」と問われても、自動車の性能の向上に対するものなのか、周囲の設備の問題なのか、人の意識に対するものなのか、答えるべき理由は実に様々です。
何でもいいと言われればそうかもしれませんが、「何でもいい」という言葉に「つまずき」を感じている子も少なくはありません。