社会のタネ

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414 「比較」を通して歴史をダイナミックに捉える

〈「比較」を通して歴史をダイナミックに捉える〉

ここで紹介する実践は、私が所属している研究会で開発した教材です。

小学校の歴史学習では、主な事象を手がかりに、大まかな歴史を理解するとともに、関連する先人の業績、優れた文化遺産の働きなどを理解できるようにします。

しかし、小学校の歴史学習の発展として、一つの視点から歴史を概観するような、大まかな通史的学習があってもいいのではないかと考えました。

そして、中学校での「歴史的な見方・考え方」につながるように「時間的な視点」つまり、「どのように移り変わってきたのか」ということを考える授業を設定しました。

 

本授業では、時代ごとの「平均身長」を扱います。

その時代の平均身長の比較やその推移を見ることで、時代背景や人々の生活様式などに興味をもち、それぞれの時代の特徴がよりよく見えるようになると考えました。

また、身長と様々な要因の因果関係を考えることで時代を関連付けて見ることができるようになります。

つまり、身長を見ることを通して「歴史的な見方」を豊かにし、歴史を大きく捉えることをねらいとしました。

 

学習活動は、以下の通りです。

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まずはクイズで盛り上げます。

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どの時代の平均身長が高そうなのか、低そうなのか、既有知識等を踏まえながら自由に話し合います。

答えを伝えると、子どもたちは驚きます。

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縄文時代が低く、明治時代が高いと予想する子が多いからです。

結果からそれぞれの時代の平均身長を比較することで問いが生まれます。

「なぜ江戸時代の平均身長が最も低いのだろう?」

縄文時代から弥生時代で平均身長が伸びたのはなぜだろう?」

「明治時代で少し高くなったのはなぜだろう?」

等です。

 

子どもたちの問いに合わせて追究していけばよいのですが、最も身長が高かった弥生時代と最も低かった江戸時代に関心が寄せられることが想定されます。

最も高い弥生時代と最も低い江戸時代を比較しながら追究していくとよいでしょう。

また、最も変化の大きい弥生時代と江戸時代を比較する方法など、比較しながら追究する方法は様々に考えられます。

いずれにしても、時代を超えて思考を働かせることになります。

狭い範囲での時間的変遷や因果関係のみにとらわれた歴史学習よりも、「歴史的な見方」を豊かにすることができるのではないでしょうか。