このコロナ禍の子どもの学び方について考えました。
長い休業中の子どもの学び方を見ていて胸をはって「よかった」と言えるのでしょうか。
大半の子はそうではなかったように思えます。
しかし、これは決して子どもの責任ではありません。
今回の出来事ではっきりしたこと、考え直さなければいけないことがあります。
それは、我々教師がどのような子どもたちを育ててきたのか、育てようとしてきたのか、ということです。
子どもたちの能動性を十分に育まず、受動的な態度になる教育にしてしまっていたのではないかということです。
子どもたちが主体性のある学びを実現させるための「自己調整」の力を育む活動ができてきたのかをしっかりとふり返りたいものです。
「自己調整」の力を育むことができていれば、子どもたちは、
他に興味のあることがあれば学習する。
役に立つ授業内容を選んで自分でノートにまとめる。
効果的な学習計画を立てる。
学んだことを自分で整理する。
家庭で集中して学習できる環境を整える。
学習に取り組めるように自分で動機づける。
このようなことができるようになります。
自分で課題を見つけ探究的な態度で日々を過ごせるようになるはずです。
「自己調整」の力を考える上で重要だと言えることは、子どもたちの「自律性と自己決定性を高める」ということです。
そのために、教師は自律性支援的行動を行う必要があります。
シャンク・ジマーマン(2009)によると、自律性支援的行動は、
「聞くこと」
「学び手の要求を尋ねること」
「個別活動の時間を取ること」
「学び手の話し合いの促進させること」
「理由づけ(根拠)を与えること」
「情報的フィードバックとしてほめること」
「励ますこと」
「ヒントを与えること」
「応答的であること」
「視点を捉える共感的な言葉をかけること」
などがポイントとして挙げられています。
逆に、制御的指導行動は、
「命令や指示を出すこと」
「「〜べき」と言うこと」
「「正しい方法」を教えること」
「「正しい方法」を示すこと」
「学習教材を独占すること」
「質問を制御すること」
が挙げられています。
教師である自分自身ができていること、やってしまっていることをチェックし、自分の授業のあり方、かかわり方をふり返る必要があります。
子どもたちにとって、自己内省することは容易ではありません。
だからこそ、教師が授業のつくり方をふり返り、子どもの自己調整を促すものに変化させていく必要があるのでしょう。
今回のコロナ禍では、自分の教育や授業のあり方を考え直すことができる機会をいただいたと言えます。
〈参考文献〉
『主体的・対話的で深い学びに導く学習科学ガイドブック』大島純 千代西尾祐司 編(2019)北大路書房