先日、ある学習会で、次のような発言をされた方がおられました。
「個別最適な学びなど、新たな教育用語がどんどん入り、教育界がめまぐるしく変化していることを感じる。今まで30年以上経験して獲得してきたもの(一斉授業のノウハウ等)を放棄しなければいけないと思うと困惑する」
というような内容でした。
ベテラン教師の方でした。
年齢を重ねても学び続け、自分を変えていかなければいけないと感じておられる素敵な方だと感じました。
それと共に、確かに長年積み上げてきたものを捨て、新たな価値観や考え方、方法を入れていくことは容易なことではないのだろうと感じました。
私はまだそれほど教員をしていません。
それでも自分の中に固定化され、捨てきれないものがたくさんあるはずです。
「こうあるべき」というものがたまっているのかもしれません。
松尾睦(2021)は、先行研究を踏まえた上で、個人アンラーニングを「個人が、自分の知識やスキルを意図的に棄却しながら、新しい知識・スキルを取り入れるプロセス」と定義づけています。
私は鶴見俊輔さんが訳した「学びほぐし」という言葉が好きです。
アンラーニングとは、今自分が持っている価値観や知識、スキル等を見直し、異なるアプローチから検討する学習法のことです。
理屈ではわかりますが、アンラーニングすることは容易ではありません。
アンラーニングするには、自分の価値観や信念を問い直す必要があるからです。
「自分がもっている価値観や考え方は今の時代では古いかもしれない」
「これまでのやり方では通用しないかもしれない」
というように、批判的に見直さなければいけません。
松尾氏は、本書の冒頭で
「『プロフェッショナルになる』ためには、自分の型やスタイルを作り上げなければなりませんが、『プロフェッショナルであり続ける』ためには、確立した型やスタイルを壊し、新たな型やスタイルへと作り直すことが欠かせません」
と述べています。
持続可能で、子どもにとって価値ある教師であり続けるために、「変わり続ける勇気」をもちたいものです。