教育の世界にも多くの二項対立的な考え方が存在します。
一斉授業か個別学習か
履修主義か修得主義か
デジタルかアナログか
オンラインか対面か
紙か端末か
認知能力か非認知能力か
ゆとりか詰め込みか
系統主義か経験主義か…。
数え上げれば切りがありません。
苫野一徳(2014)は、教育をめぐる問題は、単純な二項対立で論じられやすいことを指摘しています。
「問い方のマジック」と呼んでいます。
「あちらとこちら、どちらが正しいのか?」と問われると、わたしたちは思わず、「どちらかが正しいんじゃないか」と思ってしまう傾向があるのです。
「問い方のマジック」が、これまでどれだけ教育議論を不毛なものにしてきたかは、いくら強調してもしすぎることはないと述べています。
建設的に議論するためには、「そもそも何のためか?」という問いにできるだけ共通で確認可能な“答え”を解明することが重要だと指摘しています。
白か黒かはっきりと分けられるほど単純なものはありません。
「何のための個別最適な学びなのか?」
「何のためのオンライン学習なのか?」
「何のための一斉授業なのか?」、
その「そもそも」を考え、そこから生まれる発想やアイデア、ビジョンを共有していきたいものです。そうすれば、具体的な方法を建設的に進めることができます。
二項対立という思考停止状態にならないよう、子どもたちと共に、我々大人にとっても「柔軟な思考」「しなやかな心」「豊かな創造力」が求められています。