社会のタネ

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876 不毛な二項対立から抜け出す

教育の世界にも多くの二項対立的な考え方が存在します。

一斉授業か個別学習か

履修主義か修得主義か

デジタルかアナログか

オンラインか対面か

紙か端末か

認知能力か非認知能力か

ゆとりか詰め込みか

系統主義か経験主義か

数え上げれば切りがありません。

 

 苫野一徳(2014)は、教育をめぐる問題は、単純な二項対立で論じられやすいことを指摘しています。

「問い方のマジック」と呼んでいます。

「あちらとこちら、どちらが正しいのか?」と問われると、わたしたちは思わず、「どちらかが正しいんじゃないか」と思ってしまう傾向があるのです。

「問い方のマジック」が、これまでどれだけ教育議論を不毛なものにしてきたかは、いくら強調してもしすぎることはないと述べています。

 建設的に議論するためには、「そもそも何のためか?」という問いにできるだけ共通で確認可能な答えを解明することが重要だと指摘しています。

 

 白か黒かはっきりと分けられるほど単純なものはありません。

「何のための個別最適な学びなのか?」

「何のためのオンライン学習なのか?」

「何のための一斉授業なのか?」、

その「そもそも」を考え、そこから生まれる発想やアイデア、ビジョンを共有していきたいものです。そうすれば、具体的な方法を建設的に進めることができます。

 

二項対立という思考停止状態にならないよう、子どもたちと共に、我々大人にとっても「柔軟な思考」「しなやかな心」「豊かな創造力」が求められています。