社会のタネ

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910 三浦修吾『学校教師論』

森信三の『終身教授録』に影響を受けた人は多いでしょう。

その森信三が「わたくしをしてその生涯を決定せしめた書物」と言わしめた書が『学校教師論』。

1917年、三浦修吾著、内外教育評論社より刊行された一冊です。

1975年に教育の名著シリーズとして玉川大学出版部より復刻出版されています。

森信三が「思想的系譜をたずねるとすれば、三浦修吾と芦田恵之助だ」と述べています。

その三浦修吾の言葉

「教育は、たんに現在の子どもたちのことばかりでなく、他面、将来のための種子蒔き的な一面がなければならぬ」

に対して森信三は応えます。

「一つ一つの教育的実践の中に内包せられるわれわれ教師の想念は、つねに未来への展望を秘め、民族、さらには人類の前途を想望しつつ、わが教え子たちの一人ひとりの未来像が、そのような未来的展望を背景としつつ、つねにその心の中に想い描かれているでなくてはなるまい。」

その子の「今」に全力を傾け、誠実に向き合うことはもちろん大切です。

それと共に、その子の10年、20年先のことを心に留めながらその子の「今」と関わっていきたいものです。

 

〈参考文献〉

森信三(1962)『教育的実践の基本問題』実践社