重松鷹泰たちが貫こうと考えた社会科の使命は、次の通りです。
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日本の子どもたちに気魄をもたせる。
「気魄」とは、「生活の現実と取組んでいく逞しい意欲であり、生活そのものを正しくきわめ、その生活を生活させること」と説明しています。
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人間性の回復をはかる。
自ら道をきりひらく子どもたちをつくるには、人間性の自覚、基本的人権の尊重を、子ども自身のものとして、明確にすることが重要だと説明しています。
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相互依存の関係を把握させる。
相互依存ということは、動学的な意味においてでなく、対立闘争をも包含する意味で把握させることを重視しています。
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真理追究の態度を育成する。
科学的な態度を育成することで、正しい方向に自分の生活を切りひらいていけると考えています。
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社会の改善にたいし、具体的な方策を立てて、積極的に行動するような機会を与える。
自分が参加しているものとして追究させ、知識と行為とtの統一を図るためにも重要だと説明しています。
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子ども自身の考えの統一、内省を重んずる。
日本人の考え方を、真剣で責任のあるものにするためには、きわめて大切だと述べています。
(重松鷹泰(1955)『社会科教育法』より)
重松は、以上のような使命に対する自分たちの考えが絶対だとは考えていません。
ただし、社会科を構造をもったものとして、統一した理論により貫かなければ、すじの通った働きができるものではないとして、そこに力強い信念を示していました。