③ 子どもの言葉に着目する
上図のように、日常の世界と科学の世界を往還することで子どもたちの思考力がきたえられ、認識も深まります。
しかし、この往還が子どもたちにとって難しいのです。
特に、日常の世界から科学の世界へのぼろうとする時に多くの子どもたちが「つまずき」を感じてしまいます。
【具体化する「例えば」と抽象化する「つまり」】
「例えば〜」という言葉は、何かを具体的に説明するときなどに使う言葉です。
よりわかりやすく伝えるためにいくつかの例を並べて説明することが多くなります。
そこでは演繹的思考が働きます。
「つまり〜」という言葉は、何かをまとめて説明するときなどに使う言葉です。
いくつかある事例をまとめて抽象化して説明することになります。
そこには、帰納的思考が働きます。
物事の本質を捉えるために、どちらの思考も大切です。
子どもたちが自由に
「例えば〜」
「つまり〜」
という言葉が使えるようになることが望ましいです。
そのためには、まず教師が意識をしておくことが必要です。
日常からその言葉を引き出すようにします。
子どもたちの発言に対して、
「つまり〜?」 「例えば〜?」 |
という問い返しを教師が使います。
例えば、子どもが
「日本が戦争をしている時は、子どもたちは疎開をしていまいた」
「鉄の道具の代わりに代用品を使っていました」
「教科書も戦争に関係する内容が多くなっていました」
と答えます。
一通り意見を聞き終わった後に、教師が「つまり、どういうことが言えますか?」と問い返します。
「戦争の影響がだんだん大きくなって日常生活にまで及んできました」などと答えます。
一人の子が発言した直後に問い返すことも考えられます。
いずれにしても、「つまり〜?」と問うことで、抽象化させることをねらっています。
「スーパーの人たちは、お客さんがたくさん来るように工夫しています」
と子どもが発言します。
そこで、教師が「例えば?」と問い返します。
「商品の並べ方を工夫しています」
「レジでは色々な支払い方法を取り入れています」
「資源回収ボックスを設置しています」等、様々な具体例を答えます。
個人に問い返したり、「〇〇君が言ってくれたことの例を言える人はいませんか?」などと全体に問い返したりする方法もあります。
いずれにしても、「例えば?」と問うことで、具体化させることをねらっています。
これらの問い返しを繰り返すことで、
子どもに具体化させたり抽象化させたりする思考を働かせます。
思考が見えやすい言葉を子どもたちが獲得することが大切です。