以前にこのような記事を書きました。
それからもう少し経済学習について勉強しようと思いました。
山根氏の書籍と合わせて経済学習についてしっかり学べる良書です。
さて、日本の経済教育が送れている理由として長洲(1961)は『岩波講座 現代教育学13 社会科学と教育Ⅱ』の中で、次のように指摘しています。
①政治と同様、現実的な利害やイデオロギーの対立や錯綜があるため
②教科としての歴史が浅いため
③目に見えない関係や機構を扱わねばならないという対象そのもののむずかしさのため
④教師に経済学の素養が相対的に乏しいため
⑤経済学者の仕事が伝統的に国民大衆から切断され、国民教育から遊離したままになっているため
なるほどと思いました。
③などはほんとそう思いますし、④は耳が痛いです…(^_^;)。
ここにも、おもしろいデータがあります。
随分過去のデータになりますが、大いに参考になると思います。
そうなのです。
小学校社会科の年間授業時間の中で経済関連分野に当てられている割合は51%にもなっていたのです。
にもかかわらず、あまり経済面に対して焦点を当ててこられなかったというのが現実だったのですね。
ちなみに、今回の学習指導要領では経済的視点は重要視されるようになっています。
最も早く経済の視点が出てくる単元は、3年生の「生産や販売のしごと」の単元でしょう。
「消費者の多様な願いを踏まえ売り上げを高めるよう、工夫して行われている」ことを捉えさせます。
「売り上げ」という経済用語が使用されています。
そこには、お金や金融に対する関心や基礎的な知識を身につけるというねらいがあります。
はたらく人の工夫や努力だけでなく、3年生の時から「利益」等の経済的視点はもたせたいものですね。
その他、本格的に経済の視点が組み込まれるのはやはり、5年生の産業学習ではないでしょうか。
農業、水産業、工業等、すべての産業で意識されます。
当たり前です。
生産者は利益を上げたいのですから。
ただ、生産者の工夫や願いはおそらくそれだけではありません。
買い手のニーズに応えて買い手が喜ぶものにしたい。
地球環境に優しい製品開発をする。
持続可能などの視点です。
近江商人の「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」の考えですね。
経済の視点をおさえつつ、それだけではない情意的な人のあたたかい部分を感じさせることが大切なのかもしれません(ただ、今までその経済的な視点が少なかったことは否めません)。
少し「経済」の話と離れたかもしれませんが、産業学習をするにあたってそのあたりは大切だと感じています。
その他、「公共施設の働き」「水・電気などの公共事業」「廃棄物の処理」
「貿易や運輸」「租税の役割」など、探せば多くの経済視点があります。
今後、自分自身が社会科授業をつくっていくときに、以下の「経済教育における基本的概念」を元にして、どの単元でどの概念を教えようか考える必要がありそうです。
意識していきたいと思います。