◼️子どもたちが生命の充実を感じる場合の五つ
1 食べ物がおいしく、活動に疲れを覚えず、ねむりが安らかであるとき。
2 一日一日と各種の能力を高めるとき。たとえば九々が言えるようになったり、自転車に乗れるようになったりするとき。
3 船の模型をつくるときのように、さまざまの能力が統一され焦点づけられ、目標達成に向って能力が向上して行くとき。
4 共同の目標に対して個人の目標が分立する仕事をするとき、純粋に個人的な目標に向って仕事が遂行するのより高次の生命の充実感を得る。それを得させることは困難であるし、持続発展させることはなお困難であるが、これを乗り越えさすものは共同目標の社会的正しさである。
5 共同の目標に向っての共同の仕事が、自分たちの社会に対して有効であるとき。その有効さは、自分たちの社会の当面の必要に応じるという浅い意味のものもあるが、自分たちの社会の歴史的な発展に即応しているという意味での深いものである。
この五つは、一種のものであり、一体のものなのである。ただそこに高次のものへの発展と低次のものの徹底が常に考慮されねばならない。
奈良女子大附小学習研究会(1974)『学習法の体得』明治図書p28