実践記録について僕は肯定的ですが、本書は実践記録について批判されています。
どんな批判があったかを把握しておくことは自身の論を立てる上で重要ですね。
具体的に、実践記録のもつ「呪術的性格」とした問題点を著者の清水義弘は指摘しています。
簡単に言うと、以下の3つです。
- 不完全性と客観性を免れていない点
- 教育小説となり、文芸的記述のパターンに陥っている点
- 偶然・僥倖・失敗についての記述がなく、一方的勝利の戦闘記録になっている点
これらは当時の実践記録が陥っていた、もしくは陥る傾向のあった点を指摘しています。
その批判を受ける形で勝田守一の実践記録論が展開されていきます。
勝田は、実践記録の個性による文芸性の意義を確認しつつ、主観性が強くなりすぎないように意識することを指摘しました。
また、実践記録を研究仲間と共同検討することを通して、科学性と典型性をもったものにするべきだと主張しました。
こうやってみていくと、実践家による実践記録の提案などが芋づる式のように出てきます。
それを辿っていくのがまたおもしろいのです。
関係している書は、こうやって本棚の一角にまとめて置いておきます。
だから、本棚には「余白」が必要なのです(^_^)