社会のタネ

社会科を中心に、アートや旅の話などもあれこれと。

1228 子どもの主体性

子どもの「複線型の学習」を支えるICT活用と教師の役割

7.子どもの主体性


子どもの主体性にもレベル差がある。子ど もの主体的学習において、どのレベルの子ど もの主体性を育くむのかを考えたい。溝上 (2018)は、図7のように三層に分けた主体 的な学習スペクトラムが認められると述べる。

   図7 主体的な学習スペクトラム

   この階層に従えば、図6〈B〉のような学習形態における子どもの主体的学習では、(III) は広義すぎるので、(I)もしくは(II)に あたると考えられる。全体で解決するべき課 題はあるが、一斉授業のように決してその課 題のみに依存しすぎている感じではない。ど ちらかというと、一人ひとりが学習方略5等 を選択して自己決定していく学習になるので、 (II)の層の意味合いが大きくなる。では、 子どもが「(II)自己調整型の主体的学習」 を行う際の教員の役割とは何だろうか。それ は、子どもが自己調整しながら学習を進めら れるようにコーディネートし、子どもの学び を支える存在になることだと考える。もう少 し具体的に言うと、学習目標をより意識でき る授業デザインを行い、それぞれの子どもが 学習方略を選択したり、メタ認知を促したり できる環境づくりをすることである。

 

〈註〉

5 学習の効果を高めることをめざして意図的に行う 心的操作あるいは活動(辰野 1997)

 

〈参考文献〉

溝上慎一(2018)『アクティブラーニング型授業の 基本形と生徒の身体性』東信堂

辰野千寿(1997)『学習方略の心理学――賢い学習 者の育て方』図書文化