社会のタネ

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2129 代理発問

 最近、「代理発問」に強く興味を持っています。
 これは、個別学習が広がる中で、子どもたちが自ら問題を発見したり、深く追究する場面において「問いを立てる力」が十分に発揮されていないことが多く報告されているためです。
子どもたちは「なぜ」と問いかける力が未熟であり、それが学びの深さに限界をもたらしています。
そこで、教師が「代理発問」という形で子どもに代わって問いを投げかけることで、子どもが自ら問いを立てられるように導く支援が重要だと感じています。

 「代理発問」は、豊田久亀(1988)の研究に基づいており、教師がまだ問いを持たない子どもに代わって発問を行い、最終的には子どもが自ら問いを立てられるようになることを目指した教育手法です。
 槇山栄次(1910)の研究もこれに関連し、彼は発問が子どもたちの主体的な学習を促進する手段であることを強調しています。
槇山の研究は、単なる知識の伝達ではなく、子どもたちの思考を促し、問いを生み出す力を育てることを目指しており、この点が非常に現代の教育における「主体的な学び」に通じています。

 さらに、発問が教師の主導でありながら、最終的には子どもたちが自らの問いとして認識できる形になることが理想的であると篠原助市(1933)は指摘しています。
発問は、単なる知識の確認手段ではなく、子どもたちが深く考え、学びを深めるための重要なツールです。

「代理発問」は、子どもたちがまだ自問自答の力を十分に持っていない段階で、教師がその思考を促し、自ら問いを見つける力を育てるための重要な役割を果たします。
子どもたちは徐々に自分で「なぜ」と問う力を身につけ、主体的に学びを深めていくことができるため、教育現場での発問の質が非常に重要だと考えるに至りました。


11月30日(土)・12月1日(日)の日本社会科教育学会「第74回全国研究大会(沖縄大会)」では、「発問」の特化して、このあたりの具体を発表したいと思っています^_^
みなさん、沖縄でお会いしましょう〜♪
http://socialstudies.jp/ja/research_conference.html

〈参考文献〉
―豊田久亀(1988)『明治期発問論の研究―授業成立の原点を探る―』ミネルヴァ書房,p.240.
―槇山栄次(1910)『教授法の新研究』弘道館,p.103.
―篠原助市(1933)「『問』の本質と教育的意義」『教育学研究』第二巻,第七号,日本教育学会,p.21