歴史を教えることが難しいと感じられる要因は、大きく三つに整理できます。
第一に、膨大な事実の中からどこまでを押さえ、どこから「なぜ?」へつなげるかという取捨選択の難しさ。
第二に、複雑な因果関係や背景を、子どもに分かりやすくしながらも単純化しすぎないというさじ加減の難しさ。
第三に、多様な価値判断や解釈をどう扱うか、唯一の正解を示すのではなく問いを残す授業にどう転換するかという難しさ。
この三つが重なることで、教師は歴史学習を特に難しいと感じるのではないでしょうか。
しかし同時に、これらの難しさはそのまま歴史教育の豊かさでもあります。事実の選び方、因果の示し方、解釈を開く姿勢。そこに教師の専門性と授業づくりの醍醐味があるのではないでしょうか。