社会のタネ

社会科を中心に、アートや旅の話などもあれこれと。

31 単元のまとめ活動をどうするか?

 

 教科書に慶されている各単元の最後に「まとめる」「ふり返る」「深める」「広げる」等の活動があります。具体的には、新聞をつくったり、紙芝居にしたり、ポスターにまとめたり、様々です。ただ、ややもすれば「活動あって学びなし」の取り組みになってしまいがちです。「とりあえず模造紙にまとめればいいか」といった感じです。

 そうならないようにするためにも、単元の目標や社会科のねらいに即した活動を選択するべきです。その学習内容に適したまとめの方法を選択することが鍵です。

 

 今回、4学年の県の学習を行いました。

 県内の特色ある地域として、以下の3地域を事例地として扱いました。1つ目は、伝統的な技術を生かした地場産業が盛んな地域として篠山市。2つ目は、地域の資源を保護・活用している地域として豊岡市。3つ目は、国際交流に取り組んでいる地域として神戸市です。それぞれの事例の学習を通して、県内の人々が思いや願いをもち、協力して特色あるまちづくりや観光などの産業の発展に努めていることを理解させることが単元のねらいです。様々な立場の人々の協力関係について調べることを通して、県内の地域の特色を見えるようにさせたかったのです。

 そして、単元のゴールを「地域のリーフレット作り」にしました。

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 (リーフレットのつくり方は『子どもと地図 2018年度3学期号』(帝国書院)p21嵐元秀氏の記事を参照)

 

 単元のはじめに、「どのような内容をパンフレットに入れるのか」を考えさせます。単元を学習している中で、子どもたちは常に「パンフレットにどんな内容を入れようか?」ということを考えながら学習を進めます。例えば篠山市の事例では、子どもたちははじめ、丹波立杭焼等、目に見えるものをリーフレットに入れようと考えています。

 

 つまり目に見えてわかりやすい有名なものです。しかし、学習を通して「人々が思いや願いをもち伝統を守っている」「人々が協力して伝統産業をまちづくりに生かしている」という新たな概念的知識を獲得します。そうすることで、人々の思いや願い、協力関係等の視点も入れるべきだと判断するようになります。このように、「何をパンフレットに入れるか」の判断は、新たな概念的知識を獲得することで変化します。新しい概念的知識を獲得することで、児童は自分自身の判断がより豊かなものに変化することを、単元を通して理解させることができると考えました。

 

 

 そして、3事例を学んだ後に共通していることなどを「おわりに」で書かせるようにしました。そうすることで、自分たちの住む県を俯瞰して見られるようにするためです。「はじめに」では、兵庫県の概要を、「おわりに」では兵庫県の魅力等、目に見えないものに迫らせようと考えました。

 

 

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 以上が大まかなパンフレット作りのねらいです。今回、まとめの活動をリーフレットづくりにした意図はそこにありました。「ただ作らせておわり」にならないように気をつけています。