古書を探すのが好きなので、たまにAmazonなどをチェックします。
絶版書はかなり高額で販売されていますが、なぜか格安で販売されていることもあります。
昨日は、藤岡信勝氏の『授業づくりの発想』。
僕も常に身近に置いている書の一つです。
お知らせしたところ、即売。
またすでに高額になっていますが…。
いい本は多くの方に読まれてほしいと思います。
「社会科は暗記教科だ」「活動あって学びなし」と揶揄される言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
なぜそのようになってしまうのかは「指導言」について考えると理解できます。
授業中に教師が発する指導のための言葉を「指導言」といいます。
大西忠治氏(1988)は、上図のように指導言を「発問」「説明」「指示」の3つに大きく分けました。
「発問」は子どもたちの思考に働きかけ、「指示」は、子どもたちの行動に働きかけます。
「説明」は、思考と行動のどちらにも働きかけることがあり、「発問」と「指示」のもとになるものと考えられます。
この3つの指導言がなくては授業が成り立ちません。
そして、この3つの指導言をバランスよく使用することで授業が機能していきます。
「社会科授業は暗記教科だ」と言われてきました。
それは、授業中の教師の指導言が「説明」ばかりになっていたからではないでしょうか。
教材研究等で得た知識等をすべて教え込んでしまおうとするパターンです。
また、「活動あって学びなし」の社会科は、「指示」が多かったからではないでしょうか。
「調べてポスターに書く」
「模造紙にまとめる」
このような活動ばかりになっているパターンです。
「発問」することによって子どもの思考に働きかけますが、「発問」ばかりだと、子どもは何を考えたらいいのかわかりにくくなります。
「発問」に「発問」を重ねて授業が混乱してしまうパターンです。
今一度、自分の指導言のバランスを考えることが大切です。
例えば、
「2016年のリオデジャネイロオリンピックのメダルは使われなくなった車や鏡などをリサイクルして作られています。ただし全てではありません。30%リサイクルで、残りの70%は金を使っています。2012年のロンドンオリンピックのリサイクル率は0%でした。さて、次の2020年の東京オリンピックメダルのリサイクル率はどれくらいだと思いますか。ノートに数字が書けたら手を挙げてください。」
以上のような教師による指導言があるとします。
これらの指導言の中のどの部分が「発問」「説明」「指示」なのでしょうか。
考えてみてください。
「2016年のリオデジャネイロオリンピックのメダルは使われなくなった車や鏡などをリサイクルして作られています。ただし全てではありません。30%リサイクルで、残りの70%は金を使っています。2012年のロンドンオリンピックのリサイクル率は0%でした」
が説明です。
「次の2020年の東京オリンピックメダルのリサイクル率はどれくらいだと思いますか」
が発問です。
「ノートに数字が書けたら手を挙げてください」
が指示になります。
「説明」がなくても「発問」はできます。
しかし、前提がないので子どもたちは予想することが難しくなります。
「説明」が前提をつくりだします。
また、最後の「指示」がなくても授業は成り立ちます。
しかし、指示をすることで、子どもの行動の迷いもなくなります。
「発問」と「指示」をセットにすることで、考えることと行動することが明確になるのです。
細かいことですが、日々の授業で少し意識するだけでも子どもの思考や動きが変わります。
一度、1時間の授業を録音するかビデオに撮るかで聴いたり観たりしてみてください。
その際、指導言のみに着目してみてください。
自分の指導言の何が多いのか、どのようなくせがあるのかがよくわかります。
私は、授業を文字起こししたときに、
「発問」=赤色
「説明」=青色
「指示」=緑色
にわけて線を引いたこともあります。
真っ青になっていることもありましたが…。
〈参考文献〉
『社会科のつまずき指導術』宗實直樹(2021)明治図書
【ねらい】質問を考えさせることで、思考力を高める。
出題者が隠した答えを子どもが質問しながら当てるゲームです。
例えば、「歴史人物3クエスチョンゲーム」があります。
出題者が、ある歴史人物を選びます。
子どもたちが3つ質問して、その歴史人物を当てます。次のような感じになります。
子ども「その人は、戦国時代に活躍した人ですか?」
出題者「いいえ、違います。戦国時代よりも前です」
子ども「その人は、女性ですか?」出題者「そうです」
子ども「その人は随筆を書きましたか?」
出題者「はい、そうです」
子ども「答えは清少納言!」
子どもたちは3つしか質問できないので、質問の内容と順番を吟味し、論理的に考えます。
「出題者」と書いたのは、慣れてくれば教師が出題するだけでなく、子どもも出題者となり、子ども同士でできるからです。
同じように、「都道府県3クエスチョンゲーム」も盛り上がります。
【参考文献】上條晴夫・阿部隆幸編著『小学校社会科の学習ゲーム集』学事出版(2001)
【ねらい】地図をアップやルーズで見ることで、地形の特徴を実感的に理解できる。
グーグルアースを活用したゲームです。
例えば、Aの写真のような場所を映して「ここはどこだと思いますか?」と子どもたちに問います。
「池がいっぱいあるね」と子どもたちが気づきます。
少しずつルーズにしていき、兵庫県加古郡稲美町だと言うことが分かります。
「なぜどちらも池が多いのだろう?」
という問いをつくることができます。
|
|
その他、
「ここは兵庫県の何市でしょう?」
「ここはどこの都道府県でしょう?」
など、学年に応じて、市→県→全国と範囲を広げていきます。
それぞれの地域に近寄って見ることで、日本には様々な地形があることを実感できます。
自分たちの住んでいる地域や特徴のある地形が言葉やイメージだけでなく、実際の様子を見て認識することができます。
【参考文献】上條晴夫監修、佐藤正寿編著『社会科の授業ミニネタ&コツ101』学事出版(2006)
・睡眠を7時間とること
・早朝に日光を浴びること
・緑(自然)にふれること
この3つを毎日こなしていると、すこぶる体と心の調子がいいと感じています。
少なくとも、風邪をまったくひかなくなりました(^_^)
【ねらい】 地図帳に慣れ親しみ、追究力を高める。
地図帳には1つしかない絵記号(レアキャラ)が多くあります。
例えば、福井めがねわく、兵庫かばんなどです。
それらを探すゲームです。
やり方は次の通り。
① 教師が黒板にレアキャラを書く。
② 教師の合図の後、子どもは探しはじめる。見つけたら赤で丸をつけ、その場に立つ。
③ 一定の時間がたてば、立っている子は探せていない子の手助けをする。
その他、『楽しく学ぶ 小学生の地図帳』(帝国書院)の中には、次のようなレアキャラがあります。
北海道マリモ(摩周湖),群馬だるま(高崎市),,石川郷土玩具(金沢市),滋賀ビワコオオナマズ(琵琶湖),香川うどん(高 松市),愛媛タオル(今治市),佐賀ムツゴロウ(有明海),宮崎神楽面(高千穂町)
※他多数。
なぜその絵記号がその場所にしかないのかを追究させるとおもしろいです。
自学で調べてくる子もでてきます。
【参考文献】宗實直樹『社会科の「つまずき」指導術』(明治図書出版)
【ねらい】楽しみながら知識の定着を図る。
地図記号を扱ったビンゴゲームです。
やり方は次の通り。
このビンゴゲームは色々と応用可能です。
例えば国旗ビンゴや都道府県章ビンゴ、歴史人物ビンゴなどです。
ビンゴの対象となるものの数が多いときは、規模を決めるとよいでしょう。
マスも3×3から4×4にするなど、時間に応じて工夫することができます。
【参考文献】上條晴夫編著『授業導入ミニゲーム集』(学事出版)
個別最適な学びとは、「個に応じた指導」(指導の個別化と学習の個性化)を学習者の視点から整理した概念です。
◼️指導の個別化は、一定の目標を学習進度等に応じ異なる方法で指導すること。
◼️学習の個性化は、それぞれ異なる目標について興味・関心に応じて学ぶこと。
つまり、
・指導の個別化は、目標は同じだけど、違った学習方法で学習を進めること。
・学習の個性化は、そもそもそれぞれの目標や学習内容が違い、それぞれが学習を広く進めていくこと。
と捉えることができます。
主語を子どもにすることが重要で、キーワードは「選択すること」「決めること」です。
子どもが学習方法を選択すること。
子どもが学習する目標、内容を決めること。
そうすることで、子どもが自分で学習を(調整しながら)進めているという意識を持たせることができます。
教師は子どもが選択したり決めたりできる場を意図的に用意することが重要です。
これら個別最適な学びと協働的な学びが一体的に充実することによって、主体的・対話的で深い学びが実現すると言われています。
さて、子どもが自己調整しながら学んでいける授業を教師がどうデザインしていくか、これが大切です。
ただ今思考中です。
とりあえず、「単元表」を少しずつ改良し、単元の中でバランスをとりながらデザインしていこうと思います。
田村学氏の『学習評価』を読みました。
氏は前提として、学習評価の機能を以下の4点を示しています。
①指導と評価の一体化
②説明責任の遂行
③自己評価能力の育成
④カリキュラムの評価
今までは①に焦点を当てて議論されてきました。
しかし、本来学習評価とは、教師サイドの問題だけでなく、子供自身や保護者、教育課程にとっても機能すべき重要なものです。
つまり、学習評価はより汎用的で、誰もが分かりやすく簡単で、安定的であることが求められます。
それらを踏まえて、「いつでも、どこでも、だれでも」評価できるようにすることが重要だと氏は述べています。
今回の学習指導要領の改訂において、育成を目指す資質・能力が「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理されました。
これら3観点は各教科共通なので、明確に、統一的に、より幅を広げて豊かに評価できるようになったと言えます。
氏は、これら3つの期待される資質・能力が子どもに身に付いているかを学習評価によって明らかにしていかなければいけないと述べています。
しかし、「思考力、判断力、表現力」や「学びに向かう力、人間性等」は見えにくい。その見えにくいものを見取り、評価することが重要だと述べています。
(「見取り」とは、「子供の学びを捉え、解釈する教師の行為」「形成的評価を行う中で、指導の改善に機能させる教師の行為」と説明しています。)
その際のポイントとして紹介されているのが、嶋野道広氏の言葉を借りた「広い目」「長い目」「基本の目」です。以下に説明します。
子供の姿を時間軸で関連付けて継続的に見取ること
子供の姿を空間軸で関連付けて多面的に見取ること
期待する子供の姿を具体的に想定し、評価規準として言語化することによって、その授業で目指す子供の姿を基に、見えにくいものを見取り評価しやすくなります。
以上の3つの目のうちの③、「基本の目」が、具体的な学習活動における評価規準の設定となります。氏は、「評価基準となる子供の姿を具体的に言語化することで、目の前の子供の姿がよりよく見えるようになる。」「具体的な子供の姿として評価基準を言語化し設定することは、多くの評価者による評価を『いつでも、どこでも、だれでも』実施できる安定的なものにしてくれる」と説明しています。
指導と評価の計画と評価基準を作成するポイントとして以下の4つを挙げています。
①「いつ」評価時期や評価場面を示す。
②「誰が」評価者を示す。
③「何を」評価基準を示す。
④「どのように」評価方法を示す
妥当性と信頼性のある学習評価を実現していく最大のポイントは、確かな評価規準の設定にあると述べています。その表現様式として、次のフォーマットを用意されました。
「〜について(において)※学習対象・学習活動・学習場面)、
〜しながら(して)※資質・能力の主要部分)、
〜している※子供の行為。」
例えば、
知識・技能
「様々な土地にくらす人々の生活について
資料から調べたことパンフレットにまとめ、
その土地の自然条件に合わせたくらしをしていることを理解することができる」
思考・判断・表現 ※思考スキルと結びつける
「様々な土地にくらす人々の生活について
低い土地と高い土地を比較しながら、
それぞれの特長をノートに書き込んでいる」
主体的に学習に取り組む態度 ※情動スキルと結びつける
「兵庫県の特徴を表すパンフレットづくりにおいて
話し合いを通じて異なる意見を参考にしながら、
3つの市町村のよさを選んでパンフレットに書き込んでいる」
などとなります。
フォーマットがあれば比較的容易に評価基準を作りやすくなります。
氏は、「とにかくまずはご自身で作ってみることが重要」だと述べられていました。
やっていく中で気づきや改善点が生まれそうです。
見えにくいもの(思考や態度)を見取り、学習活動の中でも子どもたちに豊かな声かけ(評価)ができるように、評価基準(ゴールの姿)を明確にもっておく必要性を感じました。
簡単でいいので、まずは単元レベルで作ってみようと思います。